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API

目次

 

はじめに:Webアプリ開発におけるAPIの役割

アプリケーションプログラミングインターフェース(API)は、異なるシステムやサービス間で情報をやり取りするための「窓口」のような役割を果たします。

現代のWebアプリケーション開発において、APIは必要不可欠な存在となっており、APIを活用することで、開発者は外部のサービスや機能と容易に連携させることが可能になり、アプリケーションの可能性を大きく広げることができます。

■Webアプリ開発の効率化と連携強化

メリット

内容

開発工数の削減

既存のAPIを利用することで、ゼロから機能を開発する手間を省けます。

機能拡張の容易さ

外部の地図サービスや決済システムなどを簡単に組み込めます。

データ連携の強化

異なるサービス間でデータを共有し、よりリッチなユーザー体験を提供できます。

■API活用の重要性

特に、Web APIはHTTPプロトコルを通じてサーバーリソースへアクセスするためのインターフェースとして、スマートフォンのアプリやPCのWebアプリケーションなど、多岐にわたるクライアントエンティティで活用されています。これにより、開発者はより迅速かつ柔軟に、高品質なWebアプリケーションを構築することが可能となります。

(1) Webアプリ開発の効率化と連携強化

Webアプリケーション開発においてAPIを活用することの恩恵は大きく、具体的には、以下のようなメリットが得られます。

  • 開発工数の削減: 外部のサービスが提供する機能を自社でゼロから開発する必要がなくなり、開発期間の短縮とコスト削減につながります。例えば、地図表示機能や決済機能など、汎用的な機能は既存のAPIを利用することが一般的です。

  • 機能拡張と多様化: 外部のAPIと連携することで、自社アプリケーションに新たな機能を追加したり、提供できるサービスを多様化させることが可能になります。これにより、ユーザー体験の向上やビジネスチャンスの拡大が期待できます。

  • データ連携の円滑化: 異なるシステム間でデータをスムーズにやり取りできるようになり、データのサイロ化を防ぎ、より統合されたサービス提供を実現します。

このように、APIはWebアプリ開発の効率化と連携強化に不可欠な技術と言えます。

(2) API活用の重要性

APIを活用することで、Webアプリケーション開発は飛躍的に効率化されます。外部のサービスが提供する機能を自社でゼロから開発する必要がなくなり、開発期間の短縮とコスト削減に繋がります。

例えば、決済機能や地図表示、SNS連携など、多くのWebアプリで必要とされる機能は、既に優れたAPIとして提供されています。これらを活用することで、開発者は本来注力すべきコア機能の開発に集中できます。

メリット

具体的な効果

開発効率の向上

開発期間の短縮、リソースの最適化

コスト削減

外部サービスの利用による開発コストの抑制

機能拡張

外部サービス連携による機能の多様化

ユーザー体験の向上

高度な機能やサービスを迅速に提供可能

また、API連携はアプリケーション間の連携を強化し、よりリッチでシームレスなユーザー体験の提供を可能にします。このように、APIは現代のWebアプリ開発において不可欠な要素と言えるでしょう。

APIの基本:Web APIとREST APIの違い

Webアプリケーション開発において、異なるシステム間での連携をスムーズにするために利用されるAPIですが、特に、Webサービス間の通信を可能にする「Web API」と、その中でも特定の設計原則に従う「REST API」は、Webアプリケーション開発の効率化と機能拡張に大きく貢献します。

Web APIとは、HTTPプロトコルを用いてサーバー上のリソースにアクセスするためのインターフェース全般を指します。様々な技術で構築可能であり、ブラウザやスマートフォンなど、多様なクライアントからのアクセスを支援します。

一方、REST APIはWeb APIの一種であり、APIを構築するためのアーキテクチャスタイルの一つです。REST APIは、以下の「RESTの原則」と呼ばれる制約に従って設計されます。

特徴

Web API

REST API

定義

HTTPでサーバーのリソースにアクセスするためのインターフェース全般

Web APIの一種で、特定の設計原則(RESTの原則)に従うアーキテクチャスタイル

構造・通信手段

多様な技術で構築可能。通信スタイルも限定されない。

主にJSON、XML、プレーンテキストなどのメッセージフォーマットを使用。HTTP通信が基本。

設計原則

限定されない

クライアント/サーバー、ステートレス、キャッシュ、統一インターフェース、階層型構造、コードオンデマンドなどの原則に従う

柔軟性

高い(構築方法による)

RESTの原則に則るため、ある程度の制約はあるが、疎結合なアーキテクチャによる開発の独立性やスケーラビリティに優れる。

具体例

Google Maps API、Twitter APIなど(これらの中にはREST APIとして実装されているものも多い)

商品情報取得API、ユーザー認証APIなど、リソース指向で設計されたAPI

このように、Web APIは広範な概念であり、REST APIはその中の具体的な実装アーキテクチャの一つと言えます。REST APIは、その設計原則により、シンプルでスケーラブル、かつ保守性の高いAPI開発を可能にします。

(1) Web APIとは:Webサービス間の連携を可能にするインターフェース

Web APIは、異なるWebサービスやアプリケーションが互いに連携し、情報をやり取りするための「窓口」のようなものです。これにより、開発者はゼロから全てを構築する必要がなく、既存のサービス機能を自らのアプリケーションに組み込むことが可能になります。

例えば、Google Maps APIを利用すれば、地図情報を自社のWebサイトに表示させることができます。このように、Web APIは、

  • 多様なクライアントへの対応: スマートフォン、タブレット、PCなど、様々なデバイスから利用可能です。

  • 軽量なアーキテクチャ: 帯域幅が限られるデバイスでも効率的に動作します。

  • 豊富なデータ形式のサポート: JSON、XML、HTML、さらには動画や画像といったバイナリデータまで、幅広く対応しています。

といった特徴を持ち、システム間の連携をスムーズかつ効率的に実現します。Web APIの多くは、HTTPプロトコルを介してリソースにアクセスするインターフェースとして機能します。

(2) REST APIとは:Web APIの一種であり、特定の設計原則に従うもの

REST APIは、Web APIの一種であり、Webサービス間の連携を可能にするための、特定の設計原則(アーキテクチャスタイル)に基づいたAPIです。REST(Representational State Transfer)は、プロトコルではなく、API開発で広く採用されているアーキテクチャや設計思想と言えます。

REST APIが準拠する主な設計原則は以下の通りです。

設計原則

内容

クライアント/サーバー

クライアントとサーバーの関心を分離し、それぞれの独立した開発を可能にします。

ステートレス

サーバーはクライアントからのリクエストの状態を保持せず、各リクエストは独立して処理されます。

キャッシュ

サーバーからのレスポンスをキャッシュすることで、不要なサーバー負荷を軽減し、パフォーマンスを向上させます。

統一インターフェース

URIによるリソース識別、HTTPメソッドによる操作、自己記述メッセージ、HATEOAS(ハイパーメディアによるアプリケーション状態遷移)など、一貫したインターフェースを提供します。

階層型構造

クライアントは、直接通信するサーバーの構造を知る必要がなく、階層化されたシステムを構築できます。

コードオンデマンド

(オプション) サーバーから実行可能なコードをクライアントに送信することを許可します。

これらの原則により、REST APIは、多様なメッセージフォーマット(JSON, XML, プレーンテキストなど)の利用、HTTPメソッド(GET, POST, PUT, DELETEなど)によるデータ操作、そしてHTTPSによるセキュリティ確保といった特徴を持ち、スケーラビリティと柔軟性を兼ね備えたAPIとして広く利用されています。

(3) 両者の比較:構造、通信手段、使用例における違い

Web APIとREST APIは、どちらもWebサービス間の連携を可能にするインターフェースですが、いくつかの違いがあります。

比較項目

Web API

REST API

構造

様々な技術で構築可能、実装は多様

特定の設計原則(リソース指向、ステートレスなど)に従う

通信手段

HTTP以外にも対応可能(例:SOAP)

主にHTTPを使用し、JSON、XML、プレーンテキストなどのデータ形式を扱う

使用例

スマートフォンアプリ、分散システムなど

Webアプリケーション、マイクロサービスなど

REST APIは、HTTPメソッド(GET, POSTなど)をリソース操作に利用し、ステートレスな通信を基本とします。一方、Web APIはより広範な定義であり、RESTfulなものもあれば、そうでないものも含まれます。REST APIは、その設計原則により、疎結合なアーキテクチャと高いスケーラビリティを実現しやすいという特徴があります。

REST APIのアーキテクチャと設計原則

REST APIは、Webサービス間の連携を効率化するためのアーキテクチャスタイルであり、いくつかの重要な設計原則に基づいています。これらの原則は、APIの柔軟性、拡張性、そして使いやすさを向上させることに貢献しています。

設計原則

内容

リソース指向

すべての情報を「リソース」として捉え、URI(Uniform Resource Identifier)によって一意に識別します。

ステートレス性

サーバーはクライアントの状態を保持せず、各リクエストは独立して処理されます。これにより、スケーラビリティが向上します。

キャッシュ可能性

サーバーからのレスポンスをクライアント側でキャッシュすることで、冗長なリクエストを削減し、パフォーマンスを向上させます。

統一インターフェース

リソースの識別(URI)、リソース操作(HTTPメソッド)、自己記述メッセージ、HATEOAS(Hypermedia as the Application State)といった一貫したインターフェースを提供します。

クライアント・サーバ分離

クライアントとサーバーの責務を明確に分離することで、それぞれを独立して開発・進化させることが可能になります。

層化システム

アーキテクチャを複数の層に分割することで、システムの複雑性を管理し、保守性や再利用性を高めます。

これらの原則に従うことで、REST APIは、多様なクライアント(Webブラウザ、モバイルアプリなど)からのアクセスに対応し、システム間の連携をスムーズに行うことができます。

(1) リソース指向の考え方

REST APIの根幹をなすのが「リソース指向」という考え方です。これは、Web上のあらゆる情報を「リソース」として捉え、それぞれに固有の識別子(URI)を割り当てるというアプローチです。例えば、ユーザー情報や商品情報といったデータは、それぞれが独立したリソースとして扱われます。

REST APIでは、これらのリソースに対して、HTTPメソッドを用いて操作を行います。これにより、どのような操作を行うか(データの取得、作成、更新、削除など)と、どのリソースに対する操作か(ユーザー情報、商品情報など)が明確に分離されます。

操作

HTTPメソッド

データの取得

GET

データの作成

POST

データの更新

PUT / PATCH

データの削除

DELETE

このように、リソースとHTTPメソッドの組み合わせによって、Webアプリケーションの機能がシンプルかつ一貫性のある形で提供されます。

(2) ステートレス性

REST APIの重要な設計原則の一つに「ステートレス性」があります。これは、サーバーがクライアントからのリクエストに関する状態(ステート)を保持しない、という考え方です。各リクエストは、それ自体で完結するために必要な全ての情報を含んでおり、サーバーは過去のやり取りに依存することなく、そのリクエストのみを処理します。

このステートレス性により、以下のようなメリットが生まれます。

  • サーバー負荷の軽減: サーバーはクライアントの状態を管理する必要がないため、処理の負荷が軽減されます。

  • スケーラビリティの向上: どのサーバーでもリクエストを処理できるため、システム全体の拡張が容易になります。

  • 信頼性の向上: 特定のサーバーに障害が発生しても、他のサーバーでリクエストを処理できるため、システム全体の可用性が高まります。

例えば、ユーザーのログイン状態をサーバー側で保持するのではなく、リクエストごとに認証トークンを送信することで、ステートレスな通信を実現します。

(3) キャッシュ可能性

REST APIはステートレスな設計ですが、パフォーマンス向上のためにキャッシュ機能が活用されます。キャッシュとは、一度取得したデータを一時的に保存しておき、次回以降のリクエストで同じデータが必要になった際に、サーバーへ問い合わせる代わりに保存されたデータを利用する仕組みです。

これにより、以下のようなメリットが得られます。

  • レスポンス速度の向上: サーバーとの通信回数が減り、ユーザーはより速くデータにアクセスできるようになります。

  • サーバー負荷の軽減: サーバーへのアクセスが減るため、リソースの消費が抑えられ、スケーラビリティが向上します。

REST APIでは、サーバーからのレスポンスにキャッシュの有効期間などの情報が含まれており、クライアント側でこの情報を基にキャッシュの管理を行います。

キャッシュのメリット

詳細

レスポンス速度の向上

サーバー通信回数の削減

サーバー負荷の軽減

リソース消費の抑制、スケーラビリティ向上

(4) 統一インターフェース(Uniform Interface)

REST APIは、クライアントとサーバー間のやり取りを円滑にするための「統一インターフェース」という設計原則を採用しています。これにより、APIの利用方法が標準化され、拡張性や相互運用性が高まります。統一インターフェースは、主に以下の4つの制約で構成されます。

  • リソース識別(URI): すべてのリソース(データや機能)は、固有のURI(Uniform Resource Identifier)によって一意に識別されます。これにより、クライアントは目的のリソースを正確に指定できます。

  • リソース操作(HTTPメソッド): リソースに対する操作は、HTTPメソッド(GET, POST, PUT, DELETEなど)によって表現されます。各メソッドは、その操作の意図を明確に示します。

  • 自己記述メッセージ: リクエストやレスポンスは、そのメッセージ自体で、どのように処理すべきか、どのようなデータが含まれているかを理解できるように記述されます。

  • HATEOAS: クライアントは、APIからのレスポンスに含まれるリンクを辿ることで、利用可能な次のアクションや関連リソースを知ることができます。これにより、クライアントはAPIの構造を深く理解する必要がなくなり、APIの変更への対応が容易になります。

これらの原則により、REST APIは、クライアントとサーバー間の疎結合な連携を実現し、開発効率の向上とシステムのスケーラビリティに貢献します。

(a) リソース識別(URI)

REST APIでは、APIが操作する対象である「リソース」を、Uniform Resource Identifiers(URI)を用いて一意に識別します。URIは、APIエンドポイントとも呼ばれ、Web上の住所のようなものです。このURIによって、クライアントはどのリソースに対してどのような操作を行いたいのかをサーバーに伝えることができます。

例えば、ユーザー情報を管理するAPIを考えた場合、以下のようなURIでリソースを識別します。

操作対象

URI例

全てのユーザー一覧

/users

特定のユーザー情報

/users/{user_id}(例:/users/123

特定ユーザーの投稿

/users/{user_id}/posts

このように、URIはリソースの構造を階層的に表現することが多く、人間が理解しやすく、またシステムとしても扱いやすい設計がされています。REST APIでは、このURIと後述するHTTPメソッドを組み合わせることで、リソースに対する操作を定義します。

(b) リソース操作(HTTPメソッド)

REST APIでは、HTTPメソッドを用いることで、リソース(データ)に対する操作を定義します。これにより、APIの意図が明確になり、開発者間の共通理解を促進します。以下に主要なHTTPメソッドとその役割をまとめました。

メソッド

操作内容

主な用途

GET

データの取得

リソース一覧の取得や詳細情報の取得

POST

データの作成

新規リソースの追加

PUT

データの更新

リソース全体または新規作成

PATCH

データの更新

リソースの一部更新

DELETE

データの削除

リソースの削除

これらのメソッドは、APIの設計において、どのような操作が可能かを示す重要な要素となります。例えば、ユーザー情報を取得する際はGET、新しいユーザーを作成する際はPOST、既存ユーザーの情報を更新する際はPUTやPATCH、ユーザーを削除する際はDELETEを使用するのが一般的です。

(c) 自己記述メッセージ

REST APIにおける「自己記述メッセージ」とは、APIからのレスポンスが、そのレスポンス自身でどのような処理が可能なのか、あるいはどのような形式でデータが表現されているのかを理解できるように設計されていることを指します。これにより、クライアント側はAPIの仕様を詳細に知らなくても、レスポンスの内容から次に取るべきアクションを判断することが可能になります。

例えば、あるリソースを取得した際に、そのレスポンス内に、関連する別リソースへのリンクや、どのようなHTTPメソッドで操作できるかといった情報が含まれている場合があります(HATEOAS)。これは、クライアントとサーバー間の結合度を低く保ちつつ、APIの柔軟性と拡張性を高める上で重要な原則です。

要素

説明

自己記述性

レスポンス自体が、その内容や、次に可能な操作に関する情報を持つこと。

目的

クライアントがAPIの仕様を詳細に知らなくても、レスポンスから次のアクションを判断できるようにする。

効果

クライアント・サーバー間の疎結合化、APIの柔軟性・拡張性の向上。

具体例(HATEOAS)

レスポンス内に、関連リソースへのリンクや、利用可能なHTTPメソッドの情報を含めること(HATEOASの概念と関連)。

APIの利用者は、このように自己記述的なレスポンスを受け取ることで、APIの進化や変更に追従しやすくなり、開発効率の向上に繋がります。

(d) HATEOAS

HATEOAS(Hypermedia As The Engine Of Application State)とは、REST APIの設計原則の一つで、APIのレスポンス内に、次に実行可能なアクションや関連リソースへのリンクを含めるという考え方です。これにより、クライアントはAPIの構造や操作方法を事前に知らなくても、レスポンスに含まれる情報から次のステップを動的に判断し、APIを利用できるようになります。

例えば、ユーザー情報取得APIのレスポンスに、そのユーザーの投稿一覧を取得するためのリンクや、ユーザー情報を更新するためのリンクが含まれているようなイメージです。

利点

説明

発見可能性

クライアントはレスポンスから次に可能な操作を理解できます。

疎結合性

クライアントとサーバーの間の依存関係が軽減され、APIの変更に強くなります。

進化性

サーバー側でAPIのURIや構造を変更しても、クライアントの改修が不要になる場合があります。

HATEOASを実装することで、APIはより自己記述的になり、クライアント側の開発者がAPIの仕様を詳細に把握する必要性が低減します。

(5) クライアント・サーバ分離

REST APIの重要な設計原則の一つに「クライアント・サーバ分離」があります。これは、ユーザーインターフェース(クライアント)とデータストレージ(サーバー)の役割を明確に分離する考え方です。

この分離により、以下のようなメリットが生まれます。

  • 独立した開発: クライアント側とサーバー側で、互いに影響を与えることなく並行して開発を進めることができます。

  • 高い拡張性: サーバー側のロジック変更がクライアントに影響を与えにくいため、機能追加や改修が容易になります。

  • プラットフォームの多様性: クライアントはWebブラウザ、スマートフォンアプリ、デスクトップアプリケーションなど、様々なプラットフォームに対応しやすくなります。

これにより、開発効率の向上と、将来的なシステム変更への柔軟な対応が可能となります。

(6) 層化システム

REST APIは、クライアントとサーバー、そして必要に応じて中間サーバーなども含めた複数の層から構成されるアーキテクチャをサポートしています。これにより、各層は独立して機能し、システム全体の柔軟性と拡張性を高めることができます。

層の構成要素

役割

クライアント

APIを利用するアプリケーション(Webブラウザなど)

サーバー

APIを提供するバックエンドシステム

中間サーバー

ロードバランサー、APIゲートウェイなど

この層化された構造により、例えばクライアント側はUIの改善に集中し、サーバー側はデータ処理の最適化に注力するといった、各担当者がそれぞれの役割に専念することが可能になります。また、中間サーバーを挟むことで、セキュリティの強化や負荷分散といった機能を追加することも容易になります。

REST APIにおけるHTTPメソッドの使い分け

REST APIでは、リソース(データ)に対する操作に応じて、様々なHTTPメソッドを使い分けます。これにより、APIの意図が明確になり、開発者は期待通りの動作を実装しやすくなります。

メソッド

操作内容

URLによる特定

リクエストボディ

主な用途

GET

データの取得

URLとクエリパラメータで指定

不要

ユーザー一覧の取得、特定ユーザー情報の取得

POST

データの作成

リソースのURIで指定

必要

新規投稿の作成、ユーザー登録

PUT

データの更新(全体または新規作成)

リソースのURIで指定

必要

特定ユーザー情報の全体更新、存在しない場合新規作成

PATCH

データの部分更新

リソースのURIで指定

必要

特定ユーザーのメールアドレスのみ更新

DELETE

データの削除

リソースのURIで指定

不要

特定投稿の削除

GETメソッドは、サーバーから情報を取得する際に使用され、URLのクエリパラメータで条件を指定します。POSTメソッドは、新しいデータを作成する際に利用し、リクエストボディにデータを格納します。PUTメソッドは、リソース全体を更新、あるいは存在しない場合は新規作成する際に使用され、PATCHメソッドはリソースの一部のみを更新する際に利用されます。DELETEメソッドは、指定したリソースを削除する際に用いられます。

(1) GET:データの取得

GETメソッドは、APIから特定の情報を取得するために使用されます。このメソッドは、リクエストされたデータを変更しないため、安全に何度でも実行できるという特徴(冪等性)を持ちます。

URLとクエリパラメータによる特定 GETリクエストでは、URLにリソースの場所を指定し、必要に応じてクエリパラメータを用いて取得したいデータの条件を付加します。これにより、特定のユーザー情報や、特定の条件に合致するデータのみを取得することが可能になります。

具体例:ユーザー情報の一覧取得 例えば、/users というURLに対して、?status=active というクエリパラメータを付加することで、「アクティブなユーザーの一覧」を取得するといった使い方ができます。

メソッド

URL例

目的

GET

/users?status=active

アクティブなユーザー一覧取得

このようにGETメソッドは、APIの情報を参照する際に中心的な役割を果たします。

(a) URLとクエリパラメータによる特定

GETメソッドでは、特定のデータリソースを取得するためにURLが使用されます。URLは、リソースの場所を識別するためのものであり、Web APIにおけるリソースの「住所」のようなものです。

例えば、ユーザー情報の一覧を取得したい場合、以下のようなURLが考えられます。

https://api.example.com/users

このURLにHTTP GETリクエストを送信することで、サーバーは /users というリソース(この場合はユーザー一覧)を返します。

さらに、特定の条件でデータを絞り込みたい場合は、URLにクエリパラメータを追加します。クエリパラメータは、URLの ? の後に キー=値 の形式で指定し、複数のパラメータは & で連結します。

例えば、アクティブなユーザーのみを取得したい場合、以下のようなURLになります。

https://api.example.com/users?status=active

このように、URLとクエリパラメータを組み合わせることで、クライアントはAPIサーバーに対して、どのリソースをどのような条件で取得したいのかを明確に伝えることができます。

(b) 具体例:ユーザー情報の一覧取得

REST APIにおけるGETメソッドは、特定のURLに対してリクエストを送信し、リソースの情報を取得するために使用されます。ユーザー情報の一覧を取得する例では、以下のような形式でAPIリクエストが構成されます。

リクエストURL: /users

このURLは、APIサーバー上の「ユーザー」というリソースを指しています。クライアント(Webブラウザやアプリケーション)は、このURLに対してHTTP GETリクエストを送信します。

リクエストパラメータ(オプション): 必要に応じて、取得するユーザー情報を絞り込んだり、並べ替えたりするためのクエリパラメータをURLに追加することも可能です。

  • ?sort=name (名前順で並べ替え)

  • ?limit=10 (最大10件まで取得)

レスポンス: APIサーバーは、リクエストされたユーザー情報の一覧を、一般的にJSON形式で返します。

[
  {
    "id": 1,
    "name": "山田太郎",
    "email": "yamada.taro@example.com"
  },
  {
    "id": 2,
    "name": "佐藤花子",
    "email": "sato.hanako@example.com"
  }
]

このように、GETメソッドとURL、そして必要に応じてクエリパラメータを組み合わせることで、Webアプリケーションはサーバー上のデータを効率的に取得し、ユーザーに表示することができます。

(2) POST:データの作成(新規追加)

POSTメソッドは、新しいリソースを作成する際に使用されます。例えば、ブログアプリケーションで新しい投稿を作成する場合などに活用されます。

URLによるリソース指定とリクエストボディによるデータ送信

POSTメソッドを使用する際は、データを作成したいリソースのURIを指定します。そして、作成したいデータの本体はリクエストボディに含めて送信します。サーバーはこのリクエストを受け取ると、指定されたURIの下に新しいリソースを作成し、通常は作成されたリソースのURIをレスポンスとして返します。

メソッド

用途

URL例

リクエストボディ

レスポンス例

POST

データの新規作成

/users

{"name": "田中"}

{"id": 123, "name": "田中"}

具体例:新しい投稿の作成

例えば、/posts というURIに対して、リクエストボディに投稿のタイトルや本文を含めてPOSTリクエストを送信すると、新しい投稿が作成されます。サーバーは作成された投稿のIDをレスポンスとして返すことで、クライアントに通知します。

(a) URLによるリソース指定とリクエストボディによるデータ送信

POSTメソッドは、新しいリソースを作成する際に利用されます。このメソッドでは、リソースの作成先となるURIを指定し、作成したいデータはリクエストボディに含めて送信します。

例えば、ブログ記事を作成するAPIがあるとします。この場合、新しい記事を投稿するためのURIとして「/api/posts」を指定します。そして、記事のタイトルや本文といった具体的なデータは、JSON形式などでリクエストボディに記述します。

HTTPメソッド

主な用途

URL指定

データ送信方法

POST

データ作成(新規)

作成先のURIを指定(例: /api/posts

リクエストボディに含める

このように、POSTメソッドは、指定したURIに対して新しい情報を作成する際に、その情報自体をリクエストボディで渡すという特徴を持っています。

(b) 具体例:新しい投稿の作成

POSTメソッドは、新しいリソースを作成する際に使用されます。例えば、ブログアプリケーションで新しい投稿を作成する場合を考えてみましょう。

まず、投稿を作成するためのAPIエンドポイント(URI)を指定します。これは通常、コレクションリソースを指すパスになります。

メソッド

URI例

POST

/api/v1/posts

次に、リクエストのボディに、新しく作成したい投稿のデータをJSON形式で含めます。

{
  "title": "REST APIの活用について",
  "content": "REST APIの基本を理解し、効果的に活用することで、Webアプリ開発の効率が向上します。",
  "author_id": 123
}

このリクエストをサーバーに送信すると、サーバーは新しい投稿リソースを作成し、通常は作成されたリソースのURIと、そのリソースを示すレスポンスボディを返します。

(3) PUT:データの更新(全体または新規作成)

PUTメソッドは、指定したURLのリソースを、リクエストボディで送信されたデータで更新する際に使用されます。もし指定したURLにリソースが存在しない場合は、新規作成として扱われます。これは、リソース全体を置き換える、または新規に作成するという意味合いを持ちます。

例えば、ユーザー情報を更新する場合を考えてみましょう。

メソッド

URL例

リクエストボディ例

目的

PUT

/users/123

{"name": "山田太郎", "email": "yamada.tarou@example.com"}

ユーザーID「123」の情報を全体更新または新規作成

このように、PUTメソッドはリソースの特定と、そのリソースの最新の状態をリクエストボディでまとめて送信することで、データの整合性を保ちながら更新・作成を行うのに適しています。

(a) URLによるリソース特定とリクエストボディによるデータ送信

POSTメソッドは、新しいリソースを作成するために使用されます。このメソッドでは、リクエストのURLによって対象となるリソースの「親」を指定し、リクエストボディに作成したいリソースのデータを JSON や XML 形式で含めて送信します。

例えば、ユーザー一覧 /users に対して新しいユーザーを作成する場合、以下のような形式になります。

メソッド

URL

リクエストボディ

POST

/users

{"name": "山田太郎", "email": "yamada@example.com"}

サーバーはこのリクエストを受け取ると、/users リソースの下に新しいユーザーデータを作成し、通常は作成されたリソースの場所を示すURL(例: /users/123)をレスポンスヘッダーの Location に含めて返します。

(b) 具体例:特定のユーザー情報の全体更新

PUTメソッドは、指定したリソース全体を更新する場合、またはリソースが存在しない場合は新規作成する場合に使用されます。例えば、ユーザーID「123」を持つユーザーの情報を更新したい場合を考えてみましょう。

この場合、リクエストURLは /users/123 となります。リクエストボディには、更新したいユーザーの情報をJSON形式で含めます。

フィールド名

name

山田太郎

email

yamada@example.com

status

active

APIサーバーはこのリクエストを受け取ると、ユーザーID「123」のリソース全体を、リクエストボディで送信された情報で置き換えます。もし「123」というユーザーが存在しない場合は、新しいユーザーとして作成されます。

PUTメソッドは、リソースの全体を置き換える idempotent(冪等)な操作であるため、何度実行しても結果は同じになります。

(4) PATCH:データの部分更新

PATCHメソッドは、リソース全体を更新するPUTメソッドとは異なり、リソースの一部分のみを更新したい場合に利用されます。例えば、ユーザー情報の中でメールアドレスだけを変更したいといったシナリオで活用できます。

PATCHメソッドの主な特徴は以下の通りです。

特徴

説明

用途

リソースの一部更新

リソース特定

URLで対象のリソースを指定します。

データ送信

リクエストボディに、更新したいフィールドとその新しい値をJSONなどの形式で含めます。

具体例:特定のユーザーのメールアドレスのみ更新

例えば、ユーザーIDが123のユーザーのメールアドレスをnew.email@example.comに変更したい場合、以下のようなリクエストが考えられます。

PATCH /users/123 HTTP/1.1
Host: api.example.com
Content-Type: application/json

{
  "email": "new.email@example.com"
}

このように、PATCHメソッドを用いることで、不要なデータまで含めて送信することなく、効率的にリソースの一部を更新することが可能です。

(a) URLによるリソース特定とリクエストボディによる部分的なデータ送信

PATCHメソッドは、既存のリソースに対して一部のデータのみを更新したい場合に使用します。このメソッドでは、まずURLを用いて更新対象のリソースを特定します。

例えば、ユーザー情報の一部を更新する場合、以下のようなURLが考えられます。

/users/{userId}

ここで {userId} は更新したいユーザーのIDに置き換わります。

次に、リクエストボディには、更新したいデータのみをJSON形式などで含めます。これにより、リソース全体を送信することなく、必要な部分だけを効率的に更新できます。

例えば、ユーザーのメールアドレスのみを更新する場合、リクエストボディは以下のようになります。

フィールド

email

new.email@example.com

このように、PATCHメソッドは、リソース全体を上書きするPUTメソッドとは異なり、部分的な更新を安全かつ効率的に行うのに適しています。

(b) 具体例:特定のユーザーのメールアドレスのみ更新

REST APIでは、リソースの一部だけを更新したい場合にPATCHメソッドを使用します。例えば、あるユーザーのメールアドレスだけを変更したい場合、以下のようなリクエストを送信します。

リクエスト例:

PATCH /users/123 HTTP/1.1
Host: api.example.com
Content-Type: application/json
{
  "email": "new.email@example.com"
}

この例では、「/users/123」というURIで特定のユーザーリソースを指定し、リクエストボディに更新したい「email」フィールドとその新しい値を含めて送信しています。これにより、ユーザーの他の情報(名前や住所など)は変更せず、メールアドレスのみを効率的に更新することが可能です。PATCHメソッドは、PUTメソッドのようにリソース全体を置き換えるのではなく、差分のみを送信するため、通信量を削減できるという利点もあります。

(5) DELETE:データの削除

REST APIでは、不要になったリソースを削除するためにDELETEメソッドを使用します。

URLによるリソース特定

DELETEメソッドは、削除したいリソースをURIで特定します。例えば、特定のユーザー情報を削除したい場合、そのユーザーに紐づくURIを指定します。

具体例:特定の投稿の削除

あるブログアプリケーションで、IDが「123」の投稿を削除したい場合、以下のようなURLとHTTPメソッドを使用します。

DELETE /posts/123 HTTP/1.1
Host: api.example.com

このリクエストにより、指定されたURIに該当するリソース(この例ではID「123」の投稿)がサーバーから削除されます。DELETEメソッドは、リソースを削除するという明確な意図を持つため、APIの操作を理解しやすくします。

(a) URLによるリソース特定

REST APIでは、APIが提供する「リソース」をURI(Uniform Resource Identifier)を用いて一意に識別します。URIは、Web上の特定の場所や情報を示す住所のようなものです。

例えば、ユーザー情報を管理するAPIがあるとします。この場合、特定のユーザー情報を取得したい場合、以下のようなURIが考えられます。

HTTPメソッド

URI例

意味

GET

/users

全てのユーザー情報を取得

GET

/users/123

IDが123のユーザー情報を取得

GET

/users?status=active

ステータスがactiveのユーザー情報を取得

このように、URIのパス部分でリソースの種類(例:/users)や個別のリソース(例:/users/123)を指定し、クエリパラメータ(例:?status=active)を利用することで、さらに詳細な条件を指定してリソースを特定します。

(b) 具体例:特定の投稿の削除

REST APIでは、不要になったリソースを削除する際にDELETEメソッドを使用します。例えば、ブログサービスで特定の投稿を削除したい場合を考えてみましょう。

まず、削除したい投稿を特定するためのURIを指定します。投稿IDが12345であると仮定すると、URIは以下のようになります。

/posts/12345

このURIに対してDELETEメソッドでリクエストを送信することで、該当する投稿データがサーバーから削除されます。

HTTPメソッド

操作内容

URI例

補足

DELETE

リソースの削除

/posts/12345

特定の投稿(ID: 12345)を削除する

DELETEリクエストが成功すると、一般的にはHTTPステータスコード204 No Contentが返却され、削除が完了したことが示されます。

(6) その他のHTTPメソッド(HEAD, OPTIONSなど)の概要

REST APIでは、GET、POST、PUT、DELETEといった主要なメソッド以外にも、特定の用途で利用されるHTTPメソッドが存在します。これらを理解することで、より効率的かつ柔軟なAPI連携が可能になります。

  • HEADメソッド: GETメソッドと同様にリソースを取得しますが、レスポンスボディは返却されません。ヘッダー情報のみを取得したい場合に利用され、リソースの存在確認や更新日時の取得などに役立ちます。

  • OPTIONSメソッド: 対象リソースに対して、どのようなHTTPメソッドが許可されているか、どのような機能が利用可能かといった情報を取得する際に使用されます。サーバーの機能や、APIの利用可能性を確認するのに便利です。

これらのメソッドは、APIの利用方法やサーバーの挙動を理解する上で重要な役割を果たします。

5.Web API設計における考慮事項

Web APIを設計する際には、いくつかの重要な考慮事項があります。これらを適切に設計することで、APIの利便性、保守性、そしてセキュリティが向上します。

(1) APIバージョニング:後方互換性と更新戦略

APIを開発・提供していく上で、将来的な機能追加や仕様変更は避けられません。その際に、既存のAPIを利用しているクライアント(Webアプリケーションなど)に影響を与えないように、バージョン管理は非常に重要となります。APIバージョニングは、後方互換性を保ちつつ、APIを継続的に進化させるための戦略です。

APIバージョニングの主なアプローチとしては、以下の方法が挙げられます。

バージョニング方法

説明

メリット

デメリット

URLパスによる指定

/v1/users のように、URLの一部にバージョン情報を含める方法

分かりやすく、ルーティングが容易

URLが長くなる、キャッシュの挙動に注意が必要

クエリパラメータ

/users?version=1 のように、クエリパラメータでバージョンを指定する方法

URLパスを変更せずに済む

検索エンジンやキャッシュで扱いにくい場合がある

HTTPヘッダー

Accept: application/vnd.myapp.v1+json のようにヘッダーで指定する方法

URLがクリーンに保たれる、表現力が豊か

クライアント側での実装に手間がかかる

これらの方法を適切に使い分けることで、APIの変更に柔軟に対応し、ユーザーへの影響を最小限に抑えることができます。

(2) ホスティング戦略:サブドメインとサブパスの利用

Web APIを公開する際、どのようなURL構造でホスティングするかは、APIの管理性や拡張性、そして利用者の利便性に大きく影響します。主な戦略として、サブドメインを利用する方法と、パス(サブパス)を利用する方法があります。

戦略

メリット

デメリット

サブドメイン

APIごとに独立したドメインで管理できる。SSL証明書の管理が容易。

DNS設定が必要。サブドメインが増えると管理が煩雑になる可能性。

api.example.com

サブパス

単一ドメインで管理でき、DNS設定が不要。

APIが増えるとパスが長くなり、管理が複雑化する可能性。

example.com/api/v1

どちらの戦略を選択するかは、APIの規模や将来的な拡張性、チームの運用体制などを考慮して決定することが重要です。例えば、複数の独立したAPIサービスを提供する場合はサブドメインが適していますが、単一のアプリケーションに付随するAPIであればサブパスで十分な場合もあります。

(3) リクエスト・レスポンス形式:JSONの利用とnullの扱い

REST APIでは、リクエストやレスポンスのデータ形式としてJSON(JavaScript Object Notation)が広く利用されています。JSONは軽量で人間にも読みやすく、JavaScriptをはじめとする多くのプログラミング言語で扱いやすいという特徴があります。

例えば、ユーザー情報を取得する際のレスポンスは、以下のようなJSON形式で返されることが一般的です。

{
  "id": 1,
  "name": "山田太郎",
  "email": "yamada@example.com",
  "age": 30
}

この例では、idnameemailageといったキーと、それに対応する値で情報が表現されています。

一方で、APIによっては「null」の扱いが重要になる場合があります。例えば、ユーザーの年齢が未登録の場合、ageの値をnullとするか、あるいはageのキー自体をレスポンスから除外するかのどちらかの対応が考えられます。

対応方法

JSON例

nullで表現

"age": null

キーを除外

{ "id": 1, "name": "山田太郎", "email": "yamada@example.com" }

どちらの形式を採用するかはAPIの設計思想によりますが、API利用者は提供されるドキュメント等でその仕様を確認し、適切にデータを扱えるように準備しておく必要があります。

(4) エラーハンドリング:HTTPステータスコードの適切な利用とエラーレスポンスの設計

API開発において、ユーザーや他のシステムに問題発生を的確に伝えるエラーハンドリングは非常に重要です。REST APIでは、HTTPステータスコードを適切に利用することで、エラーの種類を明確に分類し、効率的な問題解決を促します。

例えば、クライアント側の入力ミスや不正なリクエストには「4xx系」のステータスコードを、サーバー側の問題やメンテナンス時には「5xx系」のステータスコードを返します。

ステータスコード

説明

400 Bad Request

不正なリクエスト

リクエストの構文が不正である場合

401 Unauthorized

認証が必要

認証情報が不足または無効な場合

404 Not Found

リソースが見つからない

要求されたリソースが存在しない場合

500 Internal Server Error

サーバーエラー

サーバー内部で予期せぬエラーが発生した場合

さらに、エラーレスポンスのボディには、エラーの原因や解決策に関する詳細な情報をJSON形式などで含めることで、API利用者は問題を迅速に理解し、対応することが可能になります。

(5) セキュリティ:認証、認可、CORS、レート制限

Web APIの安全な運用には、適切なセキュリティ対策が不可欠です。まず、認証により、APIを利用するユーザーやアプリケーションが正当なものであることを確認します。これには、APIキーやOAuth 2.0、JSON Web Tokens(JWT)などの認証方式が用いられます。次に認可によって、認証されたユーザーがどのリソースにアクセスできるか、どのような操作が可能かを制御します。

さらに、異なるオリジン(ドメイン、プロトコル、ポート)からのリクエストを許可するかどうかを制御する**CORS(Cross-Origin Resource Sharing)**の設定も重要です。意図しないオリジンからのアクセスを防ぐことで、セキュリティを強化できます。

また、APIへの過剰なリクエストによるサービス停止を防ぐために、レート制限も実施されます。これにより、一定期間内に許可されるリクエスト数を制限し、APIの安定稼働を維持します。

セキュリティ項目

内容

認証

API利用者の正当性を確認(APIキー, OAuth 2.0, JWTなど)

認可

認証された利用者のアクセス権限を制御

CORS

異なるオリジンからのリクエスト許可設定

レート制限

一定期間内のリクエスト数を制限し、サービス停止を防止

まとめ:REST APIを活用した効果的なWebアプリ開発

本記事では、Webアプリケーション開発におけるAPIの重要性、特にREST APIのアーキテクチャとHTTPメソッドの使い分けについて解説しました。

REST APIは、リソース指向、ステートレス性、統一インターフェースといった設計原則に基づき、クライアント・サーバー分離やキャッシュ可能性など、多くの利点を提供します。これにより、開発効率の向上、システム間連携の強化、そしてスケーラビリティの確保が可能となります。

HTTPメソッドを適切に使い分けることで、データの取得(GET)、作成(POST)、更新(PUT/PATCH)、削除(DELETE)といった操作を、URLとリクエストボディを用いて明確かつ効率的に行うことができます。

  • HTTPメソッドと主な用途

    メソッド

    用途

    GET

    データの取得

    POST

    データの作成(新規追加)

    PUT

    データの更新(全体または新規作成)

    PATCH

    データの部分更新

    DELETE

    データの削除

これらの原則とベストプラクティスを理解し、適切に活用することで、より堅牢で保守性の高いWebアプリケーション開発を実現できるでしょう。

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