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AIにすべてを任せない設計

目次

 

AIの専門家ではない、一アプリ開発者としての視点から、AIとの付き合い方についてお話しします。日常的な小さなプロジェクトでAIを試す中で、AIの便利さを実感する一方で、「最終判断をすべてAIに任せるのは少し怖い」と感じるようになりました。そこから興味を持ったのが「Human-in-the-loop(ヒューマン・イン・ザ・ループ)」という考え方です。

Human-in-the-loopとは?AIと人が協働する設計

私なりにHuman-in-the-loopを簡単に説明すると、**「AIが提案し、人間が確認して最終的に確定する」**という設計思想です。AIがすべてを自動で決定するのではなく、必ず人間が関与します。AIはあくまで「候補」を提示し、人間がそれを「確認・修正・決定」する。AIは自動操縦ではなく、私たち人間を支援するアシスタントのような存在だと捉えています。

なぜHuman-in-the-loopは実用的か?

AIをアプリに組み込む際に特に注意が必要だと感じたのが、購入履歴、支出金額、個人メモといった、ユーザーにとって重要性の高いデータです。もしAIが間違ったままデータを保存してしまうと、後から修正するのは非常に手間がかかります。AIは多くの場面で正しく動作しますが、重要なポイントで一度でも間違えると、ユーザー体験は一気に損なわれてしまいます。だからこそ、一度人間が確認するステップが非常に重要だと感じています。

AIを利用するための前提条件

ここで大切なのは、AIは何でも知っているわけではないという点です。「AEON」「スーパー」「買い物」といった言葉も、システムにあらかじめデータが用意されていなければAIは理解できません。システムが内容を正しく推測するためには、事前に用意された基礎データが不可欠です。

例えば、以下のような店舗データが必要です。

  • AEON

  • 7-ELEVEN

  • LAWSON

  • STARBUCKS

  • UNIQLO

  • AMAZON

また、キーワードとカテゴリの対応データも必要となります。

  • スーパー → Supermarket

  • 買い物 → Shopping

  • 飲食 → Dining

  • カフェ → Cafe

Human-in-the-loopは、このような基礎データの上に成り立つ考え方なのです。

具体例:購入履歴を記録するアプリ

通常の購入履歴アプリでは、購入日、カテゴリ、金額、メモをすべて手入力する必要があります。正確ではありますが、スマートフォンの小さな画面では入力が面倒になりがちです。

そこで、話して入力できる機能を追加してみましょう。ユーザーは次のように話します。

「昨日、イオンでスーパーの買い物をして2350円使った。」

AIはこの内容をそのまま保存するのではなく、あくまで入力候補を作成します。システムは文章を分解し、以下のように推測します。

  • **「昨日」**という言葉から、購入日を「今日から1日前」と判断

  • **「2350円」**という表現から、金額を「2350」と判断

  • **「イオン」**という言葉から、店舗を「AEON」と判断

  • **「スーパー」**という言葉から、カテゴリを「Supermarket」と推測

ただし、カテゴリなどは間違えやすいため、人の確認が必要となります。

AIの学習と精度の向上:段階的な変化

ここからがHuman-in-the-loopの真骨頂です。AIが提案し、人間が修正することで、システムは学習し、提案の精度を段階的に向上させていきます。

1回目の提案と修正

まず、AIは以下のような提案をします。

  • 購入日:2026-01-12

  • カテゴリ:Supermarket

  • 金額:2999

  • メモ:AEON スーパーの買い物

ここでユーザーが内容を確認し、間違っている箇所を修正します。

  • カテゴリ:Shopping

  • 金額:2350

この修正結果が、AIにとっての最初の学習データとなります。

2回目の提案:学習の結果

次に似たような入力があった場合、AIは前回の学習結果を反映して、より精度の高い提案を試みます。

  • カテゴリ:Shopping (信頼度75%)

  • 金額:1800 (信頼度90%)

この段階で、AIは「Shopping」というカテゴリの提案に75%の信頼度、「1800」という金額の提案に90%の信頼度を持っていることが分かります。ユーザーは、75%の信頼度のカテゴリに間違いがないか、90%の信頼度の金額に間違いがないかを確認します。

3回目以降の提案:さらなる精度向上

ユーザーがさらに修正を行い、その結果がAIに学習されることで、提案の精度はさらに向上していきます。例えば、もしユーザーが「Shopping」以外のカテゴリに修正した場合、その結果も記録されます。これにより、AIは安易に一つのカテゴリに偏らず、より柔軟な学習をすることができます。このように、人間が介入し、修正するたびにAIは賢くなり、よりユーザーの意図に近い提案ができるようになっていくのです。

信頼度という考え方の重要性

ここで登場する「信頼度」は、AIの賢さを誇示するためのものではありません。あくまで、人間がどこを確認すべきかを分かりやすくするための目安です。信頼度が95%であれば、ほぼ確認は不要でしょう。70%であれば一度確認する。50%であれば、必ず確認する。このように、信頼度を目安に確認するべき箇所を絞り込むことができます。

まとめ:Human-in-the-loopの真価

Human-in-the-loopは、決して難しい理論ではありません。

  1. 基礎データが最初の提案を作成します。

  2. 人間が正解を確定し、修正を行います。

  3. システムはその結果から学び、成長していきます。

人間が関与しなければ、間違ったデータが蓄積されてしまう可能性があります。AIが提案し、人が決め、システムが少しずつ成長していく。この関係性が、現実のプロダクト開発には非常に適していると、私は強く感じています。

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